ビジネスで海外出張が多い方必見!
海外滞在中に携帯電話を転送させる場合の落とし穴と回避法
仕事やプライベートなどで海外に行く場合、携帯番号宛にかかってきた電話を転送させて海外でも着信したいことがありますが、そんなときは国際ローミングを利用すれば海外でも携帯番号宛の着信をとることができます。
海外でも普段使用している携帯番号で発着信をする場合、契約している日本のキャリア(携帯電話会社)がその国の携帯回線を提供している電話会社から回線を借り受けることで、現地でも日本国内との発着信ができるようになっています。
逆に言うと日本のキャリアが現地の電話会社と提携していない国では国際ローミングを利用することができません。
通話料金は、その国の携帯電話会社から契約先である日本のキャリアへ請求され、そのキャリアから契約者(利用者)に請求されるという仕組みになっています。
国際ローミングを利用する際、まず注意しなければ通話料です。
1.国際ローミングでの通話料は高い
国内での通話に比べ、国際ローミング利用時の通話料はだいぶ高くなります。国によって料金は変わりますが、例えば中国で日本向けに発信した場合は175円/1分の通話料かかります。国内での携帯電話の通話料は、キャリアによって多少の差異はありますが、大よそ40円/1分です。よって国際ローミングでの通話料は国内発信時に比べて4倍以上も高いことになります。
また、発信よりもさらに注意が必要なのは、国際ローミングでは着信した際も料金がかかります。例えばアメリカ滞在中に日本の電話番号から着信した際の通話料は下記のようになります。
・アメリカで国際ローミングで着信した際の通話料
175円/1分
日本国内で着信した際、通常は料金は発生しません。どうしても「着信は無料」という感覚がありますから、海外でも着信があったらついつい電話にでてしまいがちになりますが注意が必要です。もしアメリカで電話に出てしまうと、通話時間が5分を過ぎたら1,000円を超えてしまい、ちょっとでも長電話をしてしまうと通話料だけでとんでもないことになってしまいます。
ちなみに国際ローミングは、国によって発信時より着信時の方が通話料が高いことがあるので注意が必要です。先ほどのアメリカの場合、発信時の通話料は140円/1分なので、特定の相手とどうしても連絡しないといけないことがある場合、相手に電話してもらうより、自分から発信した方がまだ通話料を安く抑えられます。
国際ローミングの発信時と着信時の通話料は下記のサイトで国ごとに確認することが可能です。
https://www.nttdocomo.co.jp/service/world/roaming/area/
発信はもちろん、着信でも高い通話料が発生する国際ローミング、なんとか安くする方法はないかと思いますよね。
格安SIMだったら国際ローミングでの通話料が安くなるのでは?と思う方もいるかもしれません。しかしながら、格安SIM を提供しているMVNOもdocomoやauの回線網を間借りしてサービスを提供しているため、格安SIMで国際ローミングを利用していても、結局はdocomoやauと同程度の料金がかかります。
これでは国際ローミングの通話料を抑えるのは無理と諦めそうになりますが、実は裏技があります。
2.携帯電話の転送サービスとIP電話サービスを活用して国際ローミングの通話料を抑える方法
それは、携帯電話の「転送サービス」を利用し、転送先に「IP電話」番号を設定するという方法です。
まず「転送サービス」について簡単に説明します。
転送サービスは各携帯キャリアが無料で提供しており、携帯電話にかかってきた電話をあらかじめ指定した「転送先」の電話番号に転送するサービスです。
・au「着信転送サービス」 https://www.au.com/mobile/service/tensou/
・docomo「転送でんわサービス」 https://www.nttdocomo.co.jp/service/transfer/index.html
・Softbank「転送電話」 https://www.softbank.jp/mobile/service/global/overseas/other-services/options/
尚、MVNOも大手携帯キャリアの回線を利用しているため、格安SIM契約者でもほとんどの方は転送サービスを利用することができます。
「IP電話」はインターネット回線を利用した電話サービスです。その中でもスマホで利用できるタイプのIP電話アプリ(サービス詳細は後述します)が必要となりますので、予め契約して電話番号を取得しておく必要があります。
この「転送サービス」の転送先を「IP電話番号」に設定することで、海外で着信した際の通話料を大幅に下げることが可能になるのです。
設定方法は、海外へ渡航する直前に携帯電話の転送先をIP電話宛に変更するだけです(設定手順については後述します)。
海外にいる間に携帯番号宛にかかってきた電話は自動的にIP電話番号宛に転送されるため、海外にいても自分のスマホで着信をとることが可能になります。現地キャリアの電話回線は利用せず、インターネット回線経由で電話をとることができるため、国内で携帯電話から他の電話に通話しているのと同じかたちになり、国際ローミングの着信料はかからないという仕組みです。
しかし通話料が無料になるというわけではありません。転送サービスの場合、転送元までの通話料は従来通り発信側の負担になりますが、転送元から転送先への通話料は着信側(転送サービス利用者)の負担になります。
つまり、転送元の携帯電話からIP電話番号宛にの通話料が発生することになりますが、携帯電話の通話料は大よそ20円/30秒ですので、1分で換算すると「40円/1分」となります。前述した北米の場合の「175円/1分」という国際ローミング時の着信料と比べると1/4以下の料金となり、海外での着信時の通話料を大幅に抑えることができます。
また、IP電話はもちろん発信も可能ですので、転送電話に出られなかった場合でもIP電話番号から発信することで国際ローミングでの発信に比べて大幅に料金を抑えることができます。
注意点として、IP電話での通話はインターネット回線を利用しますので、海外でIP電話への転送設定を利用する場合、現地の携帯回線を利用できるように、現地のSIMを購入してスマホに設定しておくか海外ローミング用のSIMカードを要ししておく必要あります。滞在先のホテルなどWi-Fi環境下にいるときだけ転送された電話を受けられればOKという場合であれば現地SIMの契約は不要です。また、国によってはIP電話による通信を制限している場合もあり、事前に注意が必要です。
3.スマホで使えるIP電話アプリ
「050」番号の取得が可能な代表的なIP電話アプリの基本料と通話料は下記のようになっています。
「050」番号をスマホで使えるIP電話サービス
(1) 050 plus https://www.ntt.com/personal/services/phone/ip/050plus.html
基本料:300円/月
通話料:[固定電話宛] 8円/3分 [携帯電話宛] 16円/1分
(2) FUSION IP-Phone SMART https://ip-phone-smart.jp/
基本料:無料
通話料:[固定電話宛] 8円/30秒 [携帯電話宛] 8円/30秒
(3) LaLa Call http://lalacall.jp/
基本料:100円/月
通話料:[固定電話宛] 8円/3分 [携帯電話宛] 8円/30秒
楽天コミュニケーションズが提供している「Smarttalk」はなんと無料で050番号を取得することができるのでとりあえず番号だけ欲しいといういう方にお勧めです。通話料やサービス内容については各社でバラツキがありますので、通話もしたいという方やこんな使い方がしたいという考えがある方は各サービスのWebサイトで確認してみて気に入ったものを利用してみてください。
そもそも「IP電話アプリって何?」という方は、以下の記事でIP電話アプリのメリットやデメリットを紹介していますので、参考にしてみてください。
また、IP電話アプリといえば「050番号しか取得できない」というイメージが強いですが、ここ数年で「03」や「06」番号などの市外局番をスマホで使えるIP電話アプリも登場してきていますので、ついでに紹介しておきます。
「03」、「06」など市外局番番号をスマホで使えるIP電話サービス
(1) 03plus「グラントン」http://03plus.net/
基本料:1,280円
通話料: [固定電話宛] 20円/30秒
「市外局番」の電話番号は「050」番号に比べて信頼度や認知度が高いこともあってか、「050」系IP電話アプリより基本料も通話料も高いです。しかし、信頼度の高い固定電話番号を回線契約や工事をすることなく取得でき、しかもスマホで発着信ができると考えたら破格の安さです。
固定電話番号の取得のほか、固定電話番号ポータビリティ(ナンバーポータビリティ)にも対応しています。
もちろん、このサービスで取得した固定電話番号も国際ローミング時の転送先に設定することができるうえ、海外から「03」や「06」の番号で発信することができるので、相手は自分が海外にいるってことに気づかない可能性が高いです。しかも通話料も国内にいる時と変わらないとあって、海外にもよく行くというビジネスマンや個人事業主の方には特にお勧めのサービスです。
また、「03plus」以外にもスマホで固定電話番号を発着信できるIP電話サービスがいくつかあり、こちらの記事で詳しく紹介しているので、気になる方は参考にしてみてください。
4.転送設定をするタイミング、設定手順について
NTTのボイスワープのみ転送元となる固定電話番号=回線の契約、工事が必要になります。
フレッツ光回線を既に契約している方なら新たに電話回線を契約すると3,000円~11,000円程度の料金がかかります。同じ転送電話サービスでも「モバイル03電話番号転送サービス」と「Toones転送電話」は回線工事は不要です。
また、 スマホで固定電話サービスの「03plus」はもちろん回線込みのため工事費用がかからず、初期費用を抑えることができます。
回線工事は申し込みから工事日まで最低でも2週間以上はかかりますから、工事不要で固定電話番号を取得できるというのは、特にこれから開業を考えている方にとっては大きなメリットです。
電話での転送設定手順を簡単に説明します。※docomoユーザの場合
(1) 「1429」に電話
(2) ガイダンスに従い、転送先の電話番号を登録
(3) 「1421」をダイヤルし、転送電話を開始
(4) 呼び出し時間の長さや、ガイダンスの有無を変更する場合は「1429」にダイヤル
(5) 転送電話を呈する場合は「1420」にダイヤル
また、機種によってはスマホの設定画面から転送設定をすることも可能です。
各キャリア毎の詳細な転送設定手順は下記からご確認ください。
・au「着信転送サービス」 https://www.au.com/mobile/service/tensou/
・docomo「転送でんわサービス」 https://www.nttdocomo.co.jp/service/transfer/index.html
・Softbank「転送電話」 https://www.softbank.jp/mobile/service/global/overseas/other-services/options/